あらすじ
限りなく今に近い、もうひとつの日本。
ここでは誰もが、アプリで他人を5段階で評価できる。その点数は、仕事や住まいの審査にまで使われる。
だから人は波風を立てない。器用に、うまくやる。
真柴直(ましば なお)、38歳。昼は住宅設備メーカーの会社員、夜は副業の交通誘導員。
お世辞も建前も言えない彼の点数は、平均より低い。
それでも彼は今夜も誘導灯を振り、歩く人が渡り終えるたびに、同じ角度で頭を下げる。
世間には見えない。でも、ある一人には見えている。

ORIGIN No.02 / 等身大ヒーロー(能力なし)
能力はない。世間の評価も低い。でも、ある一人から見ればヒーローだった。
善し?
悪し?
誰が、何を、正しいと決めているんだろう。
あなたのまっすぐさを、
見てくれていた人はいましたか?
ヨシアシ
0:15反射ベストの男が、ダンプの前に立ちはだかって、何かを怒鳴っている。
あなたなら、何点をつけますか?
その点数は、どこまで見て決めましたか?
星を押すと、15秒の外側が見えます。
あなたの評価 ★★★☆☆
「左前です!
見えていないはずです!」
運転席からは、どうやっても見えない場所がある。撮られていても、いなくても。同じ角度で、頭を下げる。
善悪を決めているのは、
15秒の切り抜き動画を見た、
現場にいなかった人たち。
限りなく今に近い、もうひとつの日本。
ここでは誰もが、アプリで他人を5段階で評価できる。その点数は、仕事や住まいの審査にまで使われる。
だから人は波風を立てない。器用に、うまくやる。
真柴直(ましば なお)、38歳。昼は住宅設備メーカーの会社員、夜は副業の交通誘導員。
お世辞も建前も言えない彼の点数は、平均より低い。
それでも彼は今夜も誘導灯を振り、歩く人が渡り終えるたびに、同じ角度で頭を下げる。
世間には見えない。でも、ある一人には見えている。
「器用にいけよ」
佐伯真柴の同期
「いつも通りでいいから」
野上課長真柴の上司
「流して」
黒田監督夜の工事現場の監督
「すみません、それはできません」
真柴 直口ぐせ
この物語に、悪人はいません。
誰もが自分の事情の中で、「器用に」やっているだけ。
悪いのは誰か。その答えは、読むあなたの側に残ります。


真柴 直ましば なお
自分を曲げない、勇気。
「誰が決めたかは知りません。
── 真柴 直
でも、やるかどうかは、
私が決めます」



YOSUKE FUKUDA / FRIEND
福田 陽介
真柴の友人
34歳。真柴より4つ年下なのに、見た目は45歳過ぎ。いつも真柴を飲みに誘う。
HIYORI / WITNESS
ひより
小学4年生
塾の帰りに毎晩、工事現場の前を通る。真柴を「ヒーロー」と見る、ただ一人の人。
SAEKI / COLLEAGUE
佐伯
真柴の同期
営業から品質保証課に来た、器用な男。「器用にいけよ」と言う側。でも、悪い人ではない。
KURODA / SITE BOSS
黒田監督
夜の工事現場の監督
工期に追われ、「流して」と言う。この人も、悪い人ではない。


評価アプリ「ヨシアシ」
誰もが他人を5段階で評価できるアプリ。15秒の動画ひとつで、人の評判が決まっていく。
誘導灯
夜の工事現場で振る、赤く光る棒。どこにでもある仕事道具が、見る人によっては剣に見える。
見ている人
一話ごとに、真柴を見ている「ひとり」が変わる。世間の点数には映らない姿を、その人だけが知っている。
STORY
物語『ストレイター』
一話ごとに「見ている人」が変わる、短い物語の連作。
LINE STICKER
誘導灯であいさつ
「止まれ」「どうぞ」「おつかれさまです」。深いお辞儀のスタンプも。
MUSIC
夜の現場の歌
誘導灯を振りながら、真柴の耳にだけ聞こえる歌。